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「国保逃れ」はなぜ繰り返されるのか 〜 参政党議員問題から考える社会保険制度の歪み

「国保逃れ」をめぐる問題が、再び政治の世界で波紋を広げています。

 

5月18日、参政党は、地方議員らが勤務実態の乏しい一般社団法人の役員となり、社会保険へ加入していた問題について処分を公表しました。報道によれば、地方議員8人が処分対象となり、さらに勧誘に関与した党関係者なども処分されています。 

 

神谷宗幣代表も記者会見で謝罪し、「抜け穴的な手法」との認識を示しました。

 

もっとも、この問題は今回が初めてではありません。

 

1月には、日本維新の会所属議員でも同様の問題が発覚し、処分されていました。

 

つまり、「国保逃れ」は、一部の特殊なケースではなく、一定程度広がりを持っていた可能性があるということです。

 

「またか」という印象の背景

今回の報道に接し、「また同じ問題か」と感じた人も少なくないのではないでしょうか。

 

実態の乏しい法人役員となり、社会保険へ加入することで、国民健康保険(国保)の負担を抑えるといった「国保逃れ」については、以前からSNSやネット上で「合法的な節約術」のように紹介される場面もありました。

 

もちろん、法人設立そのものが問題なのではありません。自ら会社を設立して事業を行う「マイクロ法人」自体は、事業実態や役員としての業務実態、報酬の合理性などが伴っていれば、通常の法人運営として認められます。

 

一方で、実態の乏しい「社保削減サービス」などを利用し、社会保険加入だけを目的とするケースについては、脱法的な手法として厳しく取り締まられる流れが強まっています。

 

問題となるのは、社会保険加入だけを主目的とし、実態が伴わないケースです。

 

厚生労働省や日本年金機構も、近年こうしたケースへの対応を強化しています。厚生労働省は3月18日、社会保険の被保険者資格の判断基準を明確化する通知を発出しました。

 

しかし、まだまだ類似の事例が繰り返されている可能性があり、その背景には、単なるモラルの問題だけでは片付けられない構造的な事情もあるように思われます。

 

なぜ政治家にも広がるのか

地方議員や国会議員のうち、会社員や会社経営者などの本業を持たない専業議員は、原則として一般の個人事業主やフリーランスと同じく、国保・国民年金に加入することになります。

 

以前は「議員年金」という独自制度が存在しましたが、批判を受けて廃止されました。そのため現在では、専業議員は国民年金(1階部分)のみとなるケースも多く、「議員年金の復活・見直し」を求める議論が繰り返されています。

 

特に国保は所得連動の側面が強く、所得が多いほど負担感も強くなりやすい制度です。

 

一方、法人側で低額報酬を設定して社会保険へ加入できれば、保険料負担を抑えられる場合があります。

 

こうした制度間の差が、「抜け穴」を探すインセンティブを生みやすくしている面は否定できません。

 

近年は、SNSや動画などを通じ、

「合法」

・「みんなやっている」

・「賢い節税」

といった形で広がりやすい環境もあります。

 

今回の問題も、「スキーム」として横展開されていた可能性がうかがえます。

 

問題の本質は「制度利用ゲーム」化

もっとも、この問題を単純に「政治家のモラル低下」だけで終わらせると、本質を見失うかもしれません。

 

背景には、

・国保と社会保険の負担差

・個人事業主側への負担集中

・制度間の不均衡

といった構造問題があります。

 

制度に大きな差があれば、人は当然、その差を利用しようと考えます。

 

結果として、「どう働くか」よりも、「どういう形にすれば負担が軽くなるか」という「制度利用ゲーム」になってしまう面があります。

 

本来、社会保険制度は、国民全体で支え合う仕組みのはずです。

 

しかし、制度設計によって負担差が大きくなりすぎると、「いかに回避するか」という発想を誘発しやすくなります。

 

それでも政治家の関与は重い

とはいえ、政治家が関与することの重みはやはり小さくありません。

 

政治家は、本来、制度を作る側・運営する側に近い立場です。

 

その政治家自身が、「制度の抜け穴」を利用していると受け止められれば、

・制度への信頼低下

・真面目に保険料を払う人との不公平感

・社会保障制度全体への不信

につながりかねません。

 

特に、少子高齢化で社会保険財政が厳しさを増す中、制度への信頼は極めて重要です。

 

今回の問題は、政治家自身もまた、個人事業主やフリーランスが抱える国保・国民年金負担の重さを実感していることの裏返しともいえるかもしれません。

 

だからこそ、一部の「抜け穴」に頼るのではなく、また、単なる制度復活論にとどまるのでもなく、税と社会保障制度全体の公平性や持続可能性について、抜本的な議論が求められているように思われます。

 

まとめ

参政党地方議員の問題は、以前の日本維新の会のケースに続くものであり、「国保逃れ」が一部で広がっていた実態を改めて浮き彫りにしました。

 

もっとも、この問題は単なる個人モラルだけでは説明しきれません。

 

背景には、

・国保負担の重さ

・制度間の不均衡

・「抜け穴」を生みやすい制度設計

といった構造的な問題があります。

 

今後は、日本年金機構による調査強化も進んでいくとみられます。

 

ただ、本当に必要なのは、「摘発強化」だけではなく、制度そのものの公平性や納得感をどう高めていくのかという議論なのかもしれません。

 

正直者が馬鹿を見ない世の中のために。