最近、毎月分配型の投資信託が再び注目を集めています。
背景には、長く続いた超低金利環境があります。普通預金金利が平均0.25%程度とされる中、「分配利回り10%超」といった商品が目を引きやすくなっているためです。
特に、
「毎月お金が入る安心感がある」
「年金の補完として使いたい」
「資産を取り崩さずに収入を得たい」
といったニーズを持つ高齢層を中心に人気が高まっています。
もっとも、この状況を見ると、かつて一世を風靡した「グロソブ(グローバル・ソブリン・オープン)」を思い出す方もいるかもしれません。
では、なぜ毎月分配型投信は根強い人気があるのでしょうか。
また、投資する際にはどのような点に注意すべきなのでしょうか。
毎月分配型投信とは?
毎月分配型投資信託とは、その名のとおり、毎月決算を行い、分配金を支払う仕組みの投資信託です。
銀行預金の利息や年金のように、定期的にお金を受け取れることから、「生活費の補填」として利用されることも少なくありません。
特に、足元の歴史的に好調な相場局面では、高い分配利回りがより魅力的に映りやすい面があります。
なぜ人気なのか?
① 「毎月受け取れる安心感」
資産運用では、本来は「資産全体がどれだけ増えたか」が重要です。
しかし、多くの人にとっては、評価額が増減することよりも、毎月一定額が振り込まれる方が実感しやすい面があります。
特に退職後は、「資産を取り崩す」という行為に心理的抵抗を感じることも多く、「分配金で生活する」という形が受け入れられやすいのです。
従来は、年金の補完などを目的とした高齢層の人気が中心でしたが、最近では、「毎月お金が入る」という分かりやすさや、SNS・動画等での高利回り訴求の影響もあり、若年層にも広がりが見られます。
② 高利回りに見える
「分配利回り10%」という数字は非常に魅力的に映ります。
ただし、ここで注意したいのは、分配金には運用益から支払われる部分だけでなく、元本を取り崩して支払われる部分が含まれている場合があるという点です。
つまり、「高い分配=高収益」とは限らないのです。
毎月分配型投信で特に重要なのが、「普通分配金」と「特別分配金」の違いです。
普通分配金は運用益などから支払われる分配金で課税対象ですが、特別分配金(元本払戻金)は投資元本の一部払い戻しですから非課税です。
一見すると、「非課税なら良いことでは?」と思うかもしれません。
しかし、実際には、自分のお金が戻ってきているだけで、いわゆる「タコ配」の可能性があります。
そのため、分配金を受け取っていても基準価額が大きく下落しているという状況も起こり得ます。
手数料負担にも注意
毎月分配型投信は、販売手数料や信託報酬が比較的高い商品も少なくありません。
特に、毎月分配を維持するために頻繁な売買を行う商品では、コストが運用成果を圧迫する可能性があります。
また、近年人気の低コストインデックスファンドと比較すると、信託報酬に大きな差があるケースもあります。
長期運用では、このコスト差が最終的な資産額に大きな影響を与えることになります。
NISAの対象外
現在のNISA制度では、毎月分配型投資信託は対象外となっています。
これは、NISA制度が「長期・積立・分散投資」による資産形成を重視しているためです。
毎月分配型は、頻繁に分配金を支払う構造上、利益を再投資して資産を増やす「複利効果」が働きにくいという面があります。
また、高い分配金を維持するために元本の一部を払い戻しているケースもあり、長期的な資産形成には適していないとの考え方が背景にあります。
そのため、税制優遇を活用しながら長期で資産形成を行う商品とは、制度上、区別されているのです。
こうした点については、金融庁も、長期的な資産形成や顧客本位の業務運営との整合性という観点から問題提起を行ってきました。
もっとも、高齢者向けに毎月分配型投信をNISA対象に加えるべきとの要望もあり、いわゆる「プラチナNISA」の検討が伝えられています。
「利回り」だけでは判断できない
投資判断では、分配金の高さだけではなく、
・基準価額の推移
・トータルリターン
・コスト
・分配原資
などを総合的に確認することが重要です。
例えば、「毎月1万円受け取れている」としても、その裏で資産本体が大きく減っていれば、実質的には資産を取り崩しているだけかもしれません。
まとめ
毎月分配型投資信託が人気を集める背景には、「毎月収入が得られる安心感」があります。
特に、退職後の資産活用という観点では、一定のニーズがあることも事実でしょう。
一方で、
・元本払戻しによる「タコ配」の可能性
・高コストによる運用効率の低下
・「複利効果」が働きにくい点
などには注意が必要です。
重要なのは、「分配金の多さ」ではなく、最終的に資産全体がどう推移するかです。
表面的な利回りだけで判断するのではなく、自身の目的や資産寿命も踏まえながら、冷静に商品内容を確認することが求められるでしょう。