4月13日、長期金利は一時2.49%と、実に29年ぶりの水準に達しました。
長らく続いてきた「低金利」が前提だった時代に、ここにきて変化の兆しがより明確になってきています。
今後も続く可能性がある金利上昇のもと、「持ち家」か「賃貸」かという住宅選択は、改めて岐路に立っているとも言えそうです。
とりわけ、住宅を取得し住宅ローンを利用する場合には、この環境変化は無視できないものになりつつあります。
低金利を前提とした意思決定の限界
これまでの住宅購入においては、「金利は低いもの」「しばらくは上がらないもの」という前提が、半ば当然のように共有されてきました。
その結果、
・変動金利の選択が主流に
(変動金利は政策金利の影響を受けるものの、低金利環境を背景に選択されてきました)
・借入可能額を前提にした価格決定
といった意思決定が広く見られてきました。
しかし、金利が上昇局面に入ることで、この前提そのものが揺らぎ始めています。
金利上昇がもたらす「静かな影響」
金利の上昇は、急激に家計を圧迫するというよりも、じわじわと効いてくる性質があります。
例えば、
・将来の返済額の不確実性が高まる(特に変動金利)
・借入可能額が縮小し、購入可能な物件価格に影響
といった形で、意思決定の前提を変えていきます。
特に注意したいのは、「今はまだ大丈夫」という感覚が続きやすい点です。
その間に、気づかないうちにリスクを取り過ぎてしまう可能性があります。
なお、金利上昇は理論的には不動産価格の下押し要因とされるものの、足元では資材価格の高騰や人手不足などの影響もあり、価格動向は一方向には見通しにくい状況にあります。
住宅ローン控除との関係にも注意
住宅取得にあたっては、住宅ローン控除の影響も無視できません。
一定期間、年末の借入残高に応じて所得税・住民税が軽減される仕組みは、実質的な負担を左右する重要な要素です。
もっとも、この制度はあくまで「税負担の軽減」にとどまり、金利上昇そのものを相殺するものではありません。
また、控除率や対象となる借入限度額は見直しが続いており、将来にわたって同じ前提が維持されるとは限らない点にも留意が必要です。
問われるのは「金利観」ではなく「前提の置き方」
今後の金利がどうなるかを正確に予測することは、誰にもできません。
重要なのは、「金利が上がるか・下がるか」を当てることではなく、どのような前提で意思決定を行うかです。
例えば、
・一定の金利上昇を織り込んでも返済可能か
・収入やライフプランの変化に耐えられる設計か
・「借りられる額」ではなく「返せる額」で考えているか
といった視点が、これまで以上に重要になってきます。
住宅の選択は「金融リテラシー」の問題へ
住宅の購入は、単なる不動産の取得ではなく、長期にわたる金融契約でもあります。
低金利のもとでは見えにくかったリスクが、金利上昇局面では徐々に顕在化していきます。
その意味で、これからの住宅選択は、物件選び以上に「金融リテラシー」が問われる局面に入っているとも言えるのかもしれません。
近年は特に東京都区部において不動産価格の上昇が著しく、年収から見た適正水準を超える借入や、ペアローンの活用が増えているとも指摘されています。
今後は、金利上昇に加え、想定していなかったライフイベントが重なることで、返済に窮する事態も起こり得ます。
おわりに
金利上昇は、すぐに結論を出すべきテーマではありません。
一方で、「これまでと同じ前提でよいのか」を見直す契機にはなり得ます。
住宅の取得は人生の大きな意思決定の一つです。
だからこそ、金利上昇も織り込んだうえで総合的な返済可能性を見極める視点が、これまで以上に重要になってきていると言えそうです。
環境の変化を踏まえつつ、少し立ち止まって考えてみることにも意味があるのではないでしょうか。