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女性活躍推進法の改正 ―「情報開示の義務化」が意味するものとは

女性の働き方をめぐる制度が、また一歩進みました。

いわゆる「女性活躍推進法」は、もともと2026年3月末までの時限立法でしたが、今回の改正により2036年3月31日まで10年間延長されることになりました。

 

背景には、一定の改善は見られるものの、依然として残る構造的な課題があります。

 

なぜ、いま女性活躍推進なのか

日本における女性の就業状況は、数字だけを見ると着実に変化しています。

・女性の就業率(15歳~64歳)は上昇傾向

・第1子出産後も約7割が就業継続

 

しかし、その一方で次のような実態も見えてきます。

・働くことを希望しながら就業していない女性が約142万人存在

・出産・育児後の再就職は非正規雇用が多く、女性の約52%が非正規

・管理職に占める女性割合は約14%にとどまり、国際的に低い水準

 

つまり、「働いているかどうか」だけでなく、どのような形で働けているか、能力を十分に発揮できているかという点では、まだ課題が残っているといえそうです。

 

制度の本質は「人材戦略」にある

女性活躍推進というと、社会的な要請という印象を持たれることもありますが、企業側の視点で見れば意味合いは少し変わります。

 

・人口減少による労働力不足

・多様化する顧客ニーズ

・グローバル化への対応

 

こうした環境の中で、人材の多様性(ダイバーシティ)の確保は経営課題そのものになりつつあります。

 

また、企業にとっても、

・採用・育成コストをかけた人材の離職防止

モチベーション向上

・組織の活性化

といった観点から、女性が継続して働き、能力を発揮できる環境づくりは大きなメリットがあるといえます。

 

2026年4月改正のポイント

今回の改正で最も実務的な影響が大きいのは、情報公表の義務化対象の拡大です。

 

・対象企業の拡大

これまでは常用労働者301人以上とされていましたが、改正後(2026年4月~)は101人以上の企業へ拡大されます。

中堅企業にも影響が及ぶ点は、今回の大きな変更点です。

 

・公表義務の内容

対象企業には、「男女間賃金差異」「女性管理職比率」の公表が義務付けられます。

 

これまでも301人以上の企業には男女間賃金差異の公表が義務付けられていましたが、今回の改正により対象が101人以上へ拡大されるとともに、新たに「女性管理職比率」の公表が義務化されます。

 

公表の場としては、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」への掲載が想定されており、あわせて自社ホームページへの掲載等も可能とされています。

 

・行動計画の策定・公表

単なる数値の開示にとどまらず、数値目標の設定や行動計画の策定、進捗状況の公表まで求められる点も重要です。

 

形式的な開示ではなく、継続的な改善プロセスの可視化が意図されていると考えられます。

 

なお、一般事業主行動計画の策定・公表自体は従前から求められているものですが、今回の改正により、数値の公表と行動計画との整合性がより重視されることになります。

 

・女性の健康上の特性への配慮

今回の改正では、女性活躍推進に当たって、ライフステージごとの様々な健康課題に配慮することの重要性が法律上明確化されました。

 

単なる数値目標の達成だけでなく、働き続けられる環境整備という観点も、今後より重視されることになります。

 

いつまでに公表する必要があるか

初回の公表時期は、次のように整理されます。

改正法施行後、最初に終了する事業年度の実績をその次の事業年度開始後「おおむね3か月以内」に公表

 

例えば:

2026年4月末決算 → 2026年7月末まで

2026年12月末決算 → 2027年3月末まで

2027年3月末決算 → 2027年6月末まで

 

決算スケジュールによって準備期間が異なるため、早めの対応が求められます。

 

情報開示は「評価」につながる時代へ

今回の改正は、一見すると単なる開示義務の拡大ですが、実質的には意味合いがもう少し深いように思われます。

 

・求職者による企業選択

・投資家による評価

・社会的な信用

 

こうした場面で、開示された数値が参照される可能性は高く、「見える化」がそのまま企業評価につながる構造が強まっていくと考えられます。

 

おわりに

女性活躍推進法は、制度としては一定の年数を重ねてきましたが、今回の改正はその「次の段階」ともいえそうです。

 

・単なる理念から一歩進み、

・数値として示す

・比較される

・改善が求められる

という流れが、より明確になってきました。

 

もっとも、数値だけで実態のすべてが測れるわけではありません。

形式的な対応にとどまるのか、実質的な組織改善につながるのかは、各企業の取り組みに委ねられる部分も大きいでしょう。

 

各企業の取り組み姿勢が、これまで以上に問われる局面に入っているのかもしれません。

 

なお、詳細な取扱いについては、厚生労働省のQ&A等も改訂されていますので、あわせてご確認いただくと理解が深まると思われます。