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通勤手当の非課税限度額が見直しへ

通勤手当のうち、一定額までは所得税が課されない「非課税制度」は、従業員の実質的な手取りを左右する重要な仕組みです。

 

この非課税限度額について、昨年に続き、マイカー等による通勤者を中心に見直しが行われました。

 

見直しの背景

今回の改正の背景には、ガソリン価格の上昇や物価全体の高騰があります。

特に、自動車やバイク、自転車といった交通用具を利用する通勤者にとっては、通勤コストの増加により、従来の非課税枠では実態に合わない状況が生じていました。

 

また、2025年8月の人事院勧告も一つの契機です。国家公務員の通勤手当の引き上げを踏まえ、民間企業においても税制面での整合性を図る観点から見直しが行われています。

 

マイカー等による通勤者については、2025年11月の改正により、2025年4月1日以後に支払われる通勤手当に遡って適用されています。

 

2026年4月からのさらなる拡充

加えて、2026年4月からは制度がさらに拡充されます。

主なポイントは次のとおりです。

 

・65km以上の長距離通勤について新たな区分を新設

・駐車場料金について、月額5,000円まで非課税枠を追加

 

通勤手当の非課税措置は、本質的には給与所得であるとしても、住宅事情等を踏まえた政策的配慮により設けられているものです。

 

今回の見直しも、そうした考え方を踏まえ、特に地方圏など自動車通勤が前提となる地域においては、実態に即した形へと調整されたものといえるでしょう。

 

対象となる通勤手段に注意

なお、今回の見直しはすべての通勤手段に及ぶものではありません。

 

・自動車・自転車などの交通用具 → 見直しの対象

・電車・バスなどの公共交通機関 → 従来どおり(月15万円まで非課税)

 

公共交通機関の非課税枠に変更がない点も、あわせて押さえておきたいところです。

 

また、自転車通勤も通勤手当の対象となるのか疑問に思われるかもしれませんが、所得税法上、自転車は自動車と同様に「交通用具」とされ、非課税制度の対象に含まれています。

 

もっとも、自転車通勤手当の支給は各企業の就業規則によります。実務上は、事故リスクへの配慮から、自転車保険への加入や安全面の確保を条件とするケースも多く見られます。

 

近年は、混雑回避や健康増進の観点から通勤手段の多様化が進み、自転車通勤を認める企業も増えています。こうした動きに加え、交通ルールの見直し(いわゆる「青切符」制度)なども踏まえると、企業としては安全管理を含めた対応の重要性が高まっているといえそうです。

 

まとめ

今回の改正は、従業員にとっては手取り確保につながる一方で、企業側には一定の実務対応が求められます。

 

物価上昇が続く中で、名目上の支給額だけでなく、手取りや実質負担に目を向けた制度設計が今後も求められていくのかもしれません。

 

通勤手当は日常的な項目であるからこそ、その見直しが持つ意味は小さくありません。今回の改正をきっかけに、自社の制度や運用を改めて見直す機会とすることも一案といえそうです。