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賃上げ促進税制の縮小方針

政府・与党は、2026年度税制改正において「賃上げ促進税制」の優遇措置を大きく見直す方向で最終調整を進めています。すでに各種報道でも取り上げられていますが、企業規模によって今後の取り扱いが大きく異なる可能性があり、影響のある企業にとっては注視すべき動きだといえます。

 

大企業向け措置は廃止の方向へ

今回の見直しの中で最も大きな変更となるのが、大企業向けの税額控除の廃止です。

足元の賃上げ状況が一定程度進んでいることに加え、賃上げ促進税制による手厚い優遇が中小企業の人手不足をさらに深刻化させかねない点などが背景にあるとされています。こうした状況を踏まえ、大企業向け措置は2026年度以降、廃止の方向で調整が進められています。

 

中堅企業は「4%以上の賃上げ」が条件に

中堅企業(資本金1億円超・従業員2,000人以下)については、賃上げ要件が引き上げられます。

現行の前年度比「3%以上」から、「4%以上」の継続雇用者給与等支給額の引き上げが適用条件となる案が示されています。さらに、こちらも2027年度以降は廃止する方向で検討されています。

 

なお、賃上げ促進税制は令和6年度税制改正で見直され、令和6年4月1日から令和9年3月31日までに開始する各事業年度に適用されることとなりました。とくに中堅企業向けは新設された企業類型であり、制度導入から間もない状況での想定外の変更は、現場で混乱をもたらす可能性もあります。

 

中小企業の取り扱いは維持。ただし2027年度は再検討

中小企業については、現行の「1.5%以上」全雇用者の給与等支給額の引き上げという要件が維持される見通しです。ただし、2027年度以降の具体的な取り扱いについては、改めて検討する方向とされています。

 

中小企業の賃上げ環境は企業規模や業種・地域によって差が大きく、慎重な議論が続くことになりそうです。

 

教育訓練に積極的な企業への上乗せ措置も縮小へ

従業員のスキル向上に取り組む企業に対し追加控除を認める「上乗せ措置」についても、2026年度以降は廃止する方針とされています。

 

確かに、教育訓練費の増額が賃上げに与える影響は限定的であるとする報告書を会計検査院が公表しており、制度の見直しを検討すべきとの指摘がありました。もっとも、人材投資の重要性が一段と高まる中で、制度廃止に伴うインセンティブの変化には注意が必要です。

 

背景にある「財源確保」というテーマ

賃上げ促進税制による減税額は、2024年度だけで1.3兆円に上る見込みです。

政府・与党は、ガソリン税などの暫定税率廃止に伴う財源を確保するという大きな課題を抱えており、賃上げ税制だけでなく研究開発税制などの租税特別措置についても見直しを進めています。

 

税制優遇の縮小が続く方向性が色濃くなっており、企業にとっては単なる「税制対応」にとどまらず、中期的な人件費や投資計画そのものの見直しが求められる局面が近づいているように感じられます。