介護保険制度が創設されてから、まもなく四半世紀。
高齢化の進展により、介護費用と保険料の増加が続くなか、制度の「持続可能性」が改めて問われています。
11月11日に開かれた財政制度等審議会(財務省の諮問機関)の分科会では、介護保険サービスの自己負担を「原則2割」に引き上げる方向で見直すべきだとの意見が示されました。
現行制度の仕組みと課題
現在、介護保険サービスの自己負担割合は次のように区分されています。
年収280万円未満(単身)の利用者 … 1割負担
年収280万円以上 … 2割負担(所得上位20%)
年収340万円以上 … 3割負担(現役並み所得)
このうち、1割負担の利用者が全体の約9割(91.9%)を占めています。
高齢者の“負担余力”に注目
分科会では、所得上位30%の高齢者世帯では平均1,000万円以上の金融資産を保有しているとのデータが示されました。
また、近年では高齢者世帯の平均貯蓄額も増加傾向にあります。
財務省は、「この層まで2割負担を広げても介護サービスの利用控えは起こりにくい」とし、金融資産も勘案した負担の見直しを求めています。
金融資産を的確に把握する仕組みの整備は、公平な税制や社会保険料の負担のあり方を考えるうえでも重要ですが、実現までには技術的な課題や国民理解の醸成など、一定の時間を要するでしょう。
増え続ける介護費用と保険料
介護保険制度が始まった2000年度の介護費用は約3.6兆円でしたが、2025年度には約14.3兆円(4倍)に達する見込みです。
さらに2040年度には27.6兆円にまで膨らむと予測されています。
一方で、65歳以上の介護保険料は制度開始時の約2倍、40~64歳の現役世代では約3倍に上昇しました。
こうした構造的な負担増に対して、財政制度等審議会は「今後も高齢化に伴い介護費用の増加は避けられない。給付と負担のバランスを見直す必要がある」と指摘しています。
今後の見通し
財政制度等審議会は、12月上旬までに提言をまとめて財務相に提出する予定です。
また、厚生労働省の会議でも年内に意見が取りまとめられる見通しで、最終的には政府・与党が判断します。
政府の社会保障改革工程表には「2027年度までに結論を得る」と明記されており、来年度以降の税・社会保障改革の主要な論点の一つとなる見通しです。
おわりに
介護保険制度は、「介護を社会全体で支える」という理念のもと、2000年に創設されました。
しかし、人口構造が大きく変化した今、その“支え合い”の形をどう保つかが問われています。
自己負担の引き上げは高齢者にとって厳しい側面もありますが、将来世代の保険料負担を抑えるためには避けて通れない議論でもあります。
単なる「負担増」ではなく、誰が・どのように・どの範囲で支え合うのか。制度の理念を踏まえた冷静な議論が求められます。
