最後に入出金などの取引をしてから10年が経過した預金は、通知や公告の手続きを経ても支払請求がなければ「休眠預金」となり、預金保険機構に移管されます。
預金保険機構によると、2024年度に移管された休眠預金は1,694億円、口座数は631万口座に達しました。
2009年1月1日以降に取引があり、その後10年以上動きがない預金が対象です。
どんな預金が休眠預金になる?
【休眠預金の対象】
・銀行の普通預金・定期預金
・ゆうちょ銀行の通常貯金・定期貯金・定額貯金
・信用金庫の普通預金や定期積金 など
【対象外となるもの】
・外貨預金
・仕組預金
・財形貯蓄 など
休眠預金とならないためには、10年以内に入出金などの「異動」が必要です。ただし、利息の入金や通帳の記帳は異動に含まれない金融機関もあります。定義は金融機関ごとに異なるため、取引先に確認しておくと安心です。
休眠預金はどうなる?
移管された資金は「休眠預金等活用法」に基づき、子ども・若者支援や生活困難者支援、地域活性化など社会課題の解決に活用されます。
ただし、休眠預金になっても引き出しは可能です。期限はなく、通帳や印鑑、本人確認書類を持参して金融機関で手続きをすれば払い戻せます。紛失している場合でも、本人確認書類があれば対応できます。
「公益活動に使われてしまったら、もう引き出せないのでは?」と不安に思うかもしれませんが、預金保険機構は将来の引き出しに備えて準備金を積み立てていますので、引き続き払い戻しは可能です。
相続の場合も所定の手続きを踏めば相続人が引き出せます。ただし、預金者が口座の存在を知らせていなかった場合、相続人が気づけないこともあるため注意が必要です。
相続や口座管理をめぐる新制度
2025年4月から「預貯金口座管理制度」が始まりました。これは、マイナンバーを活用し、預金者の意思に基づいて複数の金融機関の口座情報を一元管理できる仕組みです。相続や災害時に、口座の有無を確認したり手続きを進めたりする際に大きな助けとなります。
さらに、2026年2月には全国の物件を一括で照会できる「所有不動産記録証明制度」もスタート予定です。相続関連の手続きが、預金・不動産の両面から効率化されつつあります。
ご自身やご家族の大切なお金を守るために、口座の状況をちょっと気にかけてみてください。