被相続人が課税事業者であった場合、相続人は死亡日の翌日から4ヶ月以内に、所得税と同様に消費税の準確定申告書を提出する必要があります。
この際、各種届出書の提出についても注意が必要です。
相続により相続人が被相続人の事業を承継した場合、被相続人が「消費税課税事業者選択届出書」や「消費税簡易課税制度選択届出書」などを提出していたとしても、これらの届出の効力は被相続人についてのものであり、相続人には及びません。
したがって、相続人がこれらの規定の適用を受けようとする場合は、新たにこれらの届出書を提出する必要があります。
また、仕入れに係る税額の計算について、被相続人が一括比例配分方式を適用していた場合でも、相続人は個別対応方式を選択することができます。
適格請求書発行事業者の申請届出書
相続により適格請求書(インボイス)発行事業者の事業を承継した相続人(インボイス発行事業者を除きます。)は、みなし登録期間において、インボイス発行事業者とみなされます。
このみなし登録期間においては、被相続人の登録番号が、その相続人の登録番号とみなされます。
みなし登録期間とは、相続のあった日の翌日から、「相続人がインボイス発行事業者の登録を受けた日の前日」または「インボイス発行事業者であった被相続人が死亡した日の翌日から4ヶ月を経過する日」のいずれか早い日までの期間をいいます。
なお、共同相続の場合において、みなし登録期間中に相続財産の分割が実行されないときは、各相続人(インボイス発行事業者を除きます。)は被相続人の登録番号によりインボイスを発行します。
消費税課税事業者選択届出書など
消費税課税事業者選択届出書、消費税課税期間特例選択等届出書、または消費税簡易課税制度選択届出書は、相続があった日の属する課税期間中に提出すれば、当該期間中から適用されます。
ただし、亡くなった時期によっては、相続があった日の属する課税期間中にこれらの届出書を年末までに提出することが事実上困難な場合があります。
このような場合には、亡くなったのが提出期限前おおむね1ヶ月以内のときは、亡くなった年の翌年2月末日までに「消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請」や「消費税課税事業者選択(不適用)届出に係る特例承認申請書」を提出すれば、亡くなった年から、その課税期間前にこれらの届出書を提出したものとみなされます。
所得税の青色申告承認申請書
青色申告の承認を受けていた被相続人の事業を相続により承継した場合は、相続開始を知った日(死亡の日)の時期に応じて、それぞれ次の期間内に提出する必要があります。
・死亡の日がその年の1月1日〜8月31日までの場合:死亡の日から4ヶ月以内
・死亡の日がその年の9月1日〜10月31日までの場合:その年の12月31日まで
・死亡の日がその年の11月1日〜12月31日までの場合:その年の翌年の2月15日まで
なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。
これらの特例規定の適用を受けるかどうかは、相続人の選択によります。 提出にあたっては、提出期限に十分ご注意ください。