![要請に基づく情報交換事績の概要図](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=529x1024:format=png/path/s3bfaa45e4a5251af/image/i10b328d26d3ba698/version/1709963075/%E8%A6%81%E8%AB%8B%E3%81%AB%E5%9F%BA%E3%81%A5%E3%81%8F%E6%83%85%E5%A0%B1%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E4%BA%8B%E7%B8%BE%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81%E5%9B%B3.png)
先日の国税庁の発表によれば、「要請に基づく情報交換」について、昨年6月までの1年間に外国の税務当局に対し要請した件数は641件に上っています。
一方、外国税務当局から寄せられた「要請に基づく情報交換」の要請件数は252件でした。
税務調査において、国内で入手できる情報だけでは事実関係を十分に解明できない場合に、国税庁は必要な情報の収集・提供を外国税務当局に要請しています。
国際的な取引の実態や海外資産の保有・運用の状況を解明する有効な手段とされています。
「要請に基づく情報交換」では、外国税務当局から、海外法人の決算書、契約書、インボイス、銀行預金口座取引明細書などのほか、外国税務当局の調査担当者が取引担当者に直接ヒアリングして得た情報を入手しています。
要請に基づく情報交換の活用例も紹介されています。
内国法人Aは、日本国内で日用雑貨品を仕入れ、X国の外国法人B等に輸出したとして、当該国内仕入に係る消費税に関して、還付申告書を提出していた。
内国法人Aの調査においては、外国法人B等への輸出取引を証する資料が提出されなかったことから、当該取引の適否を検討するため、X国の税務当局に対して、内国法人Aとの取引を記帳した外国法人B等の会計帳簿等について情報提供の要請を実施した。
当該要請に対し、X国の税務当局から、外国法人B等は内国法人Aと取引を行っていない旨の回答があり、架空の輸出取引を利用して不正に消費税の還付申告を行っていた事実を把握した。
今年1月現在、日本の租税条約のネットワークは154か国・地域をカバーし、今後も情報交換のネットワークを拡大していく予定です。
以上のように、国際的な脱税や租税回避に対しては監視が強化されています。海外取引についても、税務当局の求めに応じ適切に資料開示を行わない場合などは、外国の税務当局に取引資料の要請などが行われ、結果として調査が長期化する可能性があります。
調査を受けると時間やコストはもちろんのこと、申告漏れや不正が見つかった場合は、ペナルティが課せられるだけでなく、信用や評判も失う可能性があります。そのような事態を避けるためには、正しい申告をすることが重要です。