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倒産防止共済制度の見直し

中小企業倒産防止共済制度の改正のイメージ図
出所:経済産業省HP〜中小企業倒産防止共済制度の不適切な利用への対応について〜

倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは

 倒産防止共済は、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。

 取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借り入れることができます。

 

 また、掛金は所得税の必要経費や法人税の損金に算入できる税制優遇も受けられます。

 

加入・脱退の状況

 中小企業庁によれば、2011年10月に掛金積立限度額が320万円から800万円に増額されて以降、加入者数は急増しています。その一方で、任意解約による脱退も多くなっています。特に、解約手当金の支給率が100%となる加入後3年目、4年目に解約する人が多く見られます。

 

 また、解約した人の中には、すぐに再加入する人も一定数います。再加入者のうち2年未満に再加入する者は約8割を占めます。 脱退・再加入は、積立額の変動により貸付可能額も変動することとなり、連鎖倒産への備えが不安定となるため、 本来の制度利用に基づく行動ではないと見られます。

 これらの行動は、節税を目的とした加入や、インターネットや雑誌などで節税をアピールする情報源に影響されている可能性があります。

 

2024年度税制改正のポイント

 2024年度の税制改正では、倒産防止共済に関する特例が見直されました。具体的には、共済契約を解約した後に再加入した場合には、その解約日から2年間は掛金を必要経費や損金に計上できないこととなりました。これは、節税目的で短期間で繰り返される脱退・再加入を抑制するための措置です。この改正は、2024年10月1日以後に解約した人に適用されます。

 

まとめ

 倒産防止共済は、中小企業の連鎖倒産への備えとして有効な制度ですが、節税目的で不適切な利用が行われることが問題視されています。2024年度の税制改正では、この問題を解決するために特例が見直されました。少し先の話になりますが、この改正内容を踏まえ、適切な制度の利用が求められます。