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遺贈について考える

 2024年1月1日から、贈与税や相続税の制度が変更されます。区分所有マンションの評価方法も改正され、多くのマンションの評価額が上昇すると予想されます。これらの変更により、今後の贈与や相続の対策を考える方も増えるでしょう。

 

 一方で、子供たちに遺産を相続させることについて、見直す動きが日本でも広がっています。子供たちに多額の遺産を残すことは、情熱や意欲を奪うという考え方や、資産は「自分が生きているうちに使う」という考え方が背景にあります。

 

 また、結婚しない人や子どもがいない人が増えていることから、法定相続人がいない相続が増加しています。法定相続人がいない場合や相続人が相続を放棄した場合、遺産は国に帰属します。その額は、2022年度には約769億円と過去最高を記録し、年々増加傾向にあります。

 

 そこで、今回は「遺贈」についてご紹介します。「遺贈」とは、遺言書によって法定相続人以外の特定の個人や団体に遺産を譲渡することです。法定相続人がいない方や社会貢献したい方などにとって、遺贈は有効な選択肢となります。

 

 内閣府の「国民生活選好度調査」 によれば、遺産相続について、「子どもだけでなく、看護や介護をしてくれたボランティアや施設にも残したい」、「困っている人や社会・公共の役に立つような使い方を考えたい」といった遺贈に積極的な考え方も見られました。

 

 また、民間団体による調査によれば、 「将来資産があれば、亡くなる際に一部を遺贈寄付してもよい」と肯定的に考えている回答が約4割という結果も出ており 、遺贈を考えているのは一部の富裕層だけではないことが窺えます。

 

 遺贈をする場合、寄付先は自分の思いや価値観に合った団体を選ぶことができます。NPOや自治体などさまざまな団体がありますが、その中でも人道支援や医療支援など社会貢献性の高い団体への寄付意向が多く見られます。

 

 ただし、寄付先の団体の信頼性や遺産の使われ方に不安を感じる方もいます。そのような場合は、事前に団体に問い合わせたり、寄付後に報告書を受け取ったりすることで安心感を高めることができます。

 

 自分らしい人生の終わり方を考える方にとって、「遺贈」は注目すべきトピックです。自分の遺産を社会的に有意義な事業に活用してほしいという方は、「遺贈」を検討してみてはいかがでしょうか。

 

 特定の団体への「遺贈」は、相続税の対象とされないなど税制上のメリットもありますが、遺留分には注意が必要です。また、「遺贈」をするには、遺言書を作成する必要があります。遺言書は、専門家の助言を受けて作成することが望ましいです。